GMO証券(CFD取引)の米国VI

テクニカル分析

はじめに

GMO証券の「米国VI」で2018/12/3~2023/11/27までの過去データを利用して、安定して利益を上げるための手法をシュミレーションしてみました。VIXについて理解されていない方はこちらの記事を参考にして下さい。

Youtubeやネットでも類似する情報は確認しましたが、やはり具体的な過去データを基にシュミレーションした結果でなければ信じられないので、価格調整などの細かいデータまで集めて、徹底的に検証しました。

過去データを基に算出した結果なので、今後も同じ方法で同じ利益が出せる保証は無いですが、過去データを利用する以外に、未来のデータを予測する方法が存在しないのも真実なので、今後の投資の参考になれば幸いです。

データ集め

シュミレーションをする上で、面倒な作業の一つが過去データの収集です。

GMO証券の「米国VI」はCBOE取引所のVIX指数を基にしているらしいので、TreadingVewのCBOEのVIとデータの比較をしてみましたが、こちらは調整も無く、データの上下の動きも連動していないようでした。同様に通常のVIXも同じで、TreadingVewでは同様の価格推移をするデータは確認できませんでした。

TreadingVewでデータを扱ってくれていれば、データのエクスポートも分析もやりやすいのですが、類似のものでは正確なシュミレーションはできないので、GMO証券のマイページから過去データをダウンロードしてみました。URLのリンクでは該当ページは開かずにトップページに移動させられるので、ダウンロードページまでの画面操作イメージを添付します。PCだと見ずらいですが、GMO証券のマイページから①CFDをクリック②ヒストリカルデータをクリック③年数を指定④欲しい銘柄の欲しい月の↓DLボタンをクリックの流れです。

実際にダウンロードしたら分かるのですが、データは分足ですので8:00~6:00とすると1日1320分もあり、エクセルの最大行1,048,576行では3年分も入らないぐらい膨大なので、手作業でこれを日足にするのは、時間的に厳しい事が分かりました。

そこでVBAマクロを作成してCSVデータを日足データに変換する事に成功しました。

次に、正確なシュミレーション結果を得る為に調整日の調整データを入力する必要があります。調整日のデータはダウンロードできないですが、携帯アプリから過去の調整データを見る事ができました。

①銘柄の右側の「info」ボダンをクリック

②価格調整の右側の「履歴」のファイルマークをクリック

③「期先」ー「期近」がその日に値がプラスされた値となる。

こちらの調整額は朝8:00などの取引開始時刻に所有していた取引額にプラスされる価格となります。例えば、15$で入手していて調整額(「期先」ー「期近」)が1の場合は、16$で入手した事とされます。価格自身も同様に1プラスされるため、調整日自身で評価額(利益や損益)の変更はありません。

証券会社が調整額で自由に価格を操作できるので、実際に行われているかは分かりませんが、市場よりも大きく下げておいて調整日にその分プラスするなど、保有者にとってはマイナスになる動きをさせる事もできます。価格調整の計算方法は非開示となっていますので、問い合わせしても回答を頂く事はできませんでした。

調整日のデータは手打ちでデータを入力して、VBAで日足のデータに追記させました。これでシュミレーション用のデータ準備が完成です。作成したデータを添付するので、活用したい方はご自由にダウンロードして下さい。

米国VI-日足

シュミレーション

データ集めが終わったので、ようやくシュミレーションが実施できます。取得価格や決済価格など、細かく調整しながら最適な値を求めるために、こちらもVBAマクロで自動計算できるようにしました。※携帯で見ると枠外に⑦、⑧が出てしまってるので縮小してご確認下さい。

まずはエントリー15$、決済20$でやってみました。表の見方は以下の通りです。

①エントリー日:買値(15$)以下になった日(指値エントリーなので15$で入手した事にします。)

②エントリー後一時マイナス値:エントリー後にエントリー価格を下回った最低値

③エントリー後一時マイナス日:②の日付

④決済日:売値(20$)以上になった日(指値決済なので20$で決済した事にします)

⑤決済後機会マイナス値:決済後に決済価格を超えた価格の最高値

⑥決済後機会マイナス日:⑤の日

⑦調整値:エントリーから決済までの間の調整値の累積

⑧実質決済値:売値(決済値)から価格調整(⑦)の分を引いて、損益として決済できた価格

①買いからエントリー
買値 15 売値 20
①エントリー日 ②エントリー後
一時マイナス値
③エントリー後
一時マイナス日
④決済日 ⑤決済後
機会マイナス値
⑥決済後
機会マイナス日
⑦調整値 ⑧実質
決済値
2019/2/25 14.1 2019/4/23 2019/5/9 20.46 2019/5/9 2.585 17.415
2019/7/1 14.03 2019/7/4 2019/8/5 23.57 2019/8/6 1.565 18.435
2019/10/30 12.85 2020/1/15 2020/2/24 80.02 2020/3/18 6.8 13.2
2023/6/8 13.96 2023/9/13 2023/10/4 21.84 2023/10/23 6.14 13.86

ちょっと予想外でしたがたった4エントリーで利益がでたのは2回だけ、調整額を含めるとほとんど利益となりませんでした。

買値を高めに設定した場合に②の値でどの程度まで下げても影響が無いか確認し、売値を低めに設定した場合に⑤の値でどの程度まで上げても影響が無いか確認しました。その結果エントリーチャンスの多さと、決済値の平均値から、以下の2つが良さそうだという事が分かりました。

[A]買値14.5、売値19(エントリーチャンス6回、平均決済値16.84)

①買いからエントリー
買値 14.5 売値 19
①エントリー日 ②エントリー後
一時マイナス値
③エントリー後
一時マイナス日
④決済日 ⑤決済後
機会マイナス値
⑥決済後
機会マイナス日
⑦調整値 ⑧実質
決済値
2019/3/4 14.1 2019/4/23 2019/5/7 20.46 2019/5/9 2.585 16.415
2019/7/2 14.03 2019/7/4 2019/8/5 23.57 2019/8/6 1.565 17.435
2019/11/4 12.85 2020/1/15 2020/1/31 19.07 2020/1/31 5.95 13.05
2020/2/12 14.47 2020/2/12 2020/2/24 80.02 2020/3/18 0 19
2023/7/12 14.32 2023/7/12 2023/8/18 19.51 2023/8/18 1.23 17.77
2023/9/11 13.96 2023/9/13 2023/9/26 21.84 2023/10/23 1.64 17.36
平均値 16.838

 

[B]買値14.5、売値17.2(エントリーチャンス9回、平均決済値16.03)

①買いからエントリー
買値 14.5 売値 17.2
①エントリー日 ②エントリー後
一時マイナス値
③エントリー後
一時マイナス日
④決済日 ⑤決済後
機会マイナス値
⑥決済後
機会マイナス日
⑦調整値 ⑧実質
決済値
2019/3/4 14.5 2019/3/4 2019/3/7 17.86 2019/3/8 0 17.2
2019/3/12 14.4 2019/3/12 2019/3/25 17.44 2019/3/25 0 17.2
2019/4/5 14.1 2019/4/23 2019/5/7 20.46 2019/5/9 1.385 15.815
2019/7/2 14.03 2019/7/4 2019/8/1 23.57 2019/8/6 1.565 15.635
2019/11/4 13.81 2019/11/12 2020/1/8 17.24 2020/1/8 3.675 13.525
2020/1/9 12.85 2020/1/15 2020/1/27 19.07 2020/1/31 2.275 14.925
2020/2/12 14.47 2020/2/12 2020/2/21 80.02 2020/3/18 0 17.2
2023/7/12 14.32 2023/7/12 2023/8/3 19.51 2023/8/18 0 17.2
2023/9/11 13.96 2023/9/13 2023/9/21 21.84 2023/10/23 1.64 15.56
平均値 16.029

利益計算の比較

それでは[A][B]の利益計算をしてみたいと思います。初期投資資金を10万円として、エントリー価格は14.5$、ロスカットレートを12.5$とするとレバレッジは4.11となります。実際の取引の際は一時的なマイナスの時に証拠金が追証で求められるので、追証を余剰資金でカバーできる事を前提で考えています。後半に大きくマイナスの時期があるとキツイので、実際はここまでは利益を狙うのはリスクがあると思いますが、今回は最大利益がいくらなのかを調べる事が目的なので、そこは考慮しません。

[A]買値14.5、売値19

取引
数量
実質
決済値
決済時利益 合計
19.3 16.415 54048 154048
29.8 17.435 128019 282067
54 13.05 -114803 167264
32 19 211132 378396
73 17.77 349996 728392
141 17.36 591259 1319651

[B]買値14.5、売値17.2

取引
数量
実質
決済値
決済時利益 合計
19.3 17.2 76403 176403
34.1 17.2 134993 311396
60.3 15.815 115819 427215
82 15.635 135858 563073
109 13.525 -156619 406454
78.6 14.925 49264 455718
88 17.2 348369 804087
155 17.2 613604 1417691
274 15.56 425843 1843534

シュミレーション結果のまとめ

2018/12/3~2023/11/27のデータを元に出した今回の結論としては、エントリー(買い)14.5$で、決済(売り)17.2$という事になりました。

[A]が13.2倍、[B]が18.4倍と5年間の成果としてはどちらも優秀ですが、利益の比較ではエントリーチャンスが多い[B]の方が優秀でした。

利益を伸ばそうとするほど、リスクが大きくなるのも⑧実質決済値から分かると思います。コツコツドカンのドカンが来るときは大きな利益を狙いに行く瞬間だと言う事ですね。(自分への戒め)

今後の分析に活かすための工夫

今回のシュミレーションの結果や実際の月足グラフを見ても分かるように、2020/2/12~2023/7/12の間は、米国VIが全体的に高止まりしていて、一度もエントリーチャンスはありませんでした。このように一定期間ごとに、高値と底値は、大きな波になって変動しているので、底値の切り下げタイミングにエントリーして、大きな損失を出さないように、全体的な動きにも注意しましょう。今回のようにエントリーできないだけであれば損失は出ないので、リスクを取りたくない人は特に底値までしっかり待つ事が大事だと思います。過去5年レベルの最低値は12.3や12.8です。月足で見れる2004/4/1からの最低の値は10.1(2006/12/1)でした。感覚的なものなので例外はあると思いますが、底値で激しく反発してすぐに戻る事が2回以上あったり、少なくとも2日(日足)連続上がるまではエントリーしなければ良いと思います。

今回は価格調整も含めた結果のシュミレーションなので、参考としての情報ですが、2018/12/12~2023/11/9まで価格調整は60回あり、差額はプラス68.3、月あたり1.14のプラス調整となっていることになります。今回は買い14.5、売り17.2なので、利益が2.7だとすると3か月保有しているだけで、マイナス決済となる事になります。こういった事からも、高値で売って、下がってから買う流れの方が有利とされています。天井が99.99まであるので、どうやって高値かを見極めて、どの程度までレバレッジをかけるかが問題となりますが、試してみる価値はあると思います。今回のように80まで上昇してくれれば、レバレッジ2.31倍でもVI100まで勝負できるので、ほぼ勝ち確定です。超高値圏では大きなマイナス調整が入るので、継続的に超高値圏でVIが上昇継続しない事が前提ですが、過去には無いですし、VIは基本的に下がり続けるようにできているので、持つ期間が長いほど安全になると思います。

今回データ集めや分析に使ったVBAのマクロは、VBAが得意で株価の動きを理解している人であれば1日~2日あれば作成できると思いますので今のところ販売は考えておりません。もし、要望が多ければ販売ようにフォーマットを整理したり、販売額を考えたりするので、問い合わせから連絡下さい。問い合わせの際は①販売希望の金額②元コードを暗号化して(パッケージで)も良いか③問い合わせ対応は必要か、の3点もあわせて連絡頂けると参考にさせて頂きます。

 

 

 

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